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団体情報
地域仙台
団体名NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク
代表者平川 新
住所〒980-8576
仙台市青葉区川内41
東北大学東北アジア研究センター気付
電話TEL:022-795-7546
FAX:同上
支援内容文化
NPOの活動報告

被災地の歴史資料を後世に残すために/NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク

NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(以下宮城資料ネット)は、2003年の宮城県北部地震で被害を受けた文化財の救済活動を契機に、宮城県内の歴史研究者や文化財担当行政職員などが中心となって設立し、2007年にNPO法人となりました。これまで、県内各地に所在する古文書の状況調査やデータ収集、被災した歴史資料の保全活動などをおこなってきました。東日本大震災でも全国の関係機関と連携して、大規模な保全活動を展開し、古文書を中心とした歴史資料の散逸や、消滅を防ぐのに大きな役割を果たしています。

震災で資料保全の大切さを再確認

洗浄乾燥などを施し、資料を蘇らせる

洗浄乾燥などを施し、資料を蘇らせる

今回の震災では、事務局を置く東北大学東北アジア研究センターも大きな被害を受けました。幸い4人の事務局スタッフ全員は無事でしたが、事務所は立ち入り禁止状態に。危険な状態の中、機材やデータを運びだし、体制を立て直した上で、3月15日から活動を再開しました。
ガソリン不足で被災地へのレスキュー活動がままならない中、まず取り組んだのは、被害状況の把握に向けた情報の収集です。メールニュースを発信するなどして、被害状況の情報提供を呼びかけ、それと並行して関係機関との連携を図っていきました。その結果、会員や自治体関係者から537件の情報が寄せられ、これらの情報をもとに宮城県および岩手県南部を中心にした、歴史資料の保全活動を展開しました。
4月に入り、ようやくガソリンの目処が立ち、津波被害地域の石巻を皮切りに現地活動を開始しました。以前調査を行った、多くの古文書を保有していた旧家のいくつかは、津波被害で家も蔵も流出し、膨大な数の歴史的資料が失われてしまいました。「壊滅的な被害状況を目の当たりにし、衝撃は大きかったです。それでも、所蔵者や関係者の方々は困難な状況にありながら、訪問した私たちを暖かく迎えてくださいました。」とスタッフの天野真志さん。
今回の震災では、以前調査をおこなったお宅以外にも保全活動を実施しました。その多くは、古文書をお持ちの方が直接事務局に連絡してきたものでした。甚大な被害を受けたにもかかわらず、地域やお宅の記憶を何とか残したいという方々の想いに触れ、改めて地域に残された歴史資料の重要性とそれらを保全する意味を認識しました。

全国の多くの人々と連携

ボランティアの皆さん

ボランティアの皆さん

保全活動がさまざまな媒体で紹介されてからは、所蔵者からの依頼も増え、4月から翌1月までに調査保全活動をおこなった数は、17自治体83件に上ります。こうした活動は、文化庁や県・各市町村の担当課をはじめ、奈良文化財研究所、東北芸術工芸大学、神戸歴史資料ネットワークなど、全国各地のさまざまな関係機関との連携で実施されました。 津波被害を受けた資料のレスキューは、現地に出向いて被災した資料を所蔵者からお借りしたのち、泥を落とし、水洗いして塩分を洗い流し、乾燥させます。被害の大きな資料などは、関係機関の専用機械でフリーズドライさせる場合も。和紙で作られた江戸時代の古文書は、パルプ材の紙よりも水に強く、使用される墨もインクとは違って水では消えません。そのため、丁寧に処置すれば元に戻すことができます。
こうしてきれいに蘇らせたものを、一点一点デジタル撮影して、データを保存し、そののち持ち主に資料を戻すという作業を繰り返します。これには多くの人手が必要で、HPなどで募り、これまでにのべ600人を超えるボランティアの協力を得ることができました。

ひとつでも多く残したい

津波被害により、これほど膨大な数の和紙資料が被害を受けたことは、全国でも過去に例がなく、またカビが生えているものも多いことから、さまざまな技術を応用し効率よく処置する方法を、手探りで見つけていきました。
「当初多くの被災資料を前に、自分達にどこまでできるだろうか?と不安でしたが、とにかく“この歴史資料を後世にずっと残したい”その一心でひとつひとつの課題をクリアしていきました」と天野さん。今後は沿岸部に加え、内陸部で被害にあった歴史資料の保全も積極的におこなう予定です。また地域の歴史を知る上で重要な古文書をひとつでも多く残すため、行政や地元の方と協力し、啓発などにも力を入れて行きたいと考えています。

NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク
〒980-8576
仙台市青葉区川内41
東北大学東北アジア研究センター気付
●TEL・FAX/022-795-7546
●Email miyagi-shiryounet.org
●URL http://www.miyagi-shiryounet.org