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団体情報
地域山元
団体名りんごラジオ
代表者高橋厚
住所〒989-2292
宮城県亘理郡山元町浅生原字作田山32
電話090-6786-9595
支援内容情報発信
NPOの活動報告

放送を通して情報と町民をつなぐ/りんごラジオ

宮城県山元町は県内有数の果物の生産地で、海岸沿いにはイチゴハウス、山沿いにはりんご農園が広がっています。しかし、3・11の東日本大震災で震度6強の地震と津波が襲い、沿岸部は大きな被害を受け、山元町民614人の死者を出しました。

災害臨時FMを開局

放送準備中の「りんごラジオ」内部

放送準備中の「りんごラジオ」内部

山元町の広報車は乗っていたスタッフもろとも津波に流されました。防災無線も使えず、地元の町民に情報を伝える手段がなくなりました。そこで、町も住民も情報の発信が必要と考え、元アナウンサーで、終の棲家として山元町に移り住んで8年が経つ高橋厚さんを中心として、災害臨時FM放送局「りんごラジオ」を立ち上げました。りんごラジオの由来は、山元町の特産であるりんごと、戦後の日本人を元気づけた「りんごの唄」に思いを込めて名付けられました。
放送に使用する機材やCDなどは、高橋さんの知り合いがいるエフエムながおか(新潟県)から借り、運営には、地元住民の方がボランティアとして関わり、震災から10日後の3月21日、山元町の町役場1階で放送を開始しました
りんごラジオは、毎日朝7時から夜7時半まで生放送。町内の被害状況や安否情報、医療情報など被災者・避難者・町外の方にタイムリーな情報を届けたほか、町長や副町長、教育長が日替わりで毎日出演して町民に話しかけました。
「放送する人間も同じ被災者ですので、被災者をクールに取材対象と見る様なことはせず、同じ目線で悲しみや怒り、嬉しさを共有できる放送となっていたと思います」と当時を振返る高橋さん。
程なく、インターネットサイトのサイマルラジオ(注)を経由することで、山元町外に避難している人も試聴することができるようになりました。山元町を訪れた外国のボランティアも帰国後聞いているという声もあり、発信することの重要性を再認識しました。

山元町災害臨時FM「りんごラジオ」

山元町災害臨時FM「りんごラジオ」

5月を過ぎる頃から、落ち着きを取り戻していく中で、震災の記憶を伝えていこうと1日1回、地元の方から直接話を聞く「いきなりインタビューコーナー」を設けるなど、町民の出番を作っています。取材を通し、顔と顔を合わせることで身近な存在になり、時折放送局を訪れてくれる方も増えました。
7月14日には、山元町仮庁舎の完成に伴って、スタジオも中央公民館前に建てたプレハブに移転。夏休みには、地元の声をもっと発信するため、期間限定で「夏休みりんごっこ」と題し、山元町の小学生が主体となって、インタビューや童話の音読を行う時間をつくりました。12月の冬休みにも小学生による「りんごっこラジオ」が実施されました。

町のラジオとして

高橋厚さん

高橋厚さん

6月の町議会で、りんごラジオの公設民営化が決定し、10月5日からは、町の臨時職員として4人が採用され、現在は以前からのボランティアと共に6、7人で運営しています。
「以前からりんごラジオを聞いていました。震災後、情報を得る手段はラジオしかなかったため、自分も関わって何かできないかと考えて応募しました。」と臨時職員の阿部忠男さん。放送に携わって約2ヶ月。放送のいろはについて、もっと勉強しながら町民のみなさんにより多くの情報をつなぎ、町外の方々にも現状を知ってもらいたいと、思いを語ってくれました。
「町のラジオなのだから、町職員のみなさんや、地元住民の皆さんにもっともっと関わってほしいですね。そして聴かれるラジオになるよう企画を練っていかなければ」と高橋さん。
震災から9ヶ月が過ぎ、町民へタイムリーな情報を届けてきた山元町災害臨時FM「りんごラジオ」。今後、常設のコミュニティFM局にむけて新たな取組みが期待されます。

(注)サイマルラジオ・・・コミュニティFMや臨時FMの自主制作番組をネット配
信するサイト、およびそのためのプロジェクト。

山元町災害臨時FM放送局「りんごラジオ」
●TEL/090-6786-9595
●E-mail ringoradio@gmail.com
●URL http://www.town.yamamoto.miyagi.jp/jishin/radio.html