公益社団法人3.11みらいサポート

【活動内容】
●語り部の被災経験を聞き、東日本大震災への理解を深めた。
●震災学習プログラムを体験し、実際の伝承活動への理解を深めた。
●地域にお住まいの方から震災前の思い出を聞き取り、記録した。
●伝承施設で来館者に対して展示内容の解説を行った。

【団体メッセージ】
 展示内容を解説するためには、まず内容をしっかりと理解しなければなりません。次に自分の言葉に変換し、わかりやすい言葉で相手に伝える必要があります。高校生にとって思ったよりも難しかったかもしれませんが、何回も繰り返すうちにどんどん成長していく姿を見て、受け入れ側としても非常にうれしく感じました。

 私たちにとって夏ボラは、高校生が普段はなかなか触れる機会の少ないNPOという存在について理解してもらい、震災伝承の枠組みを広げる良い機会だと考えています。震災を知らない世代が増えていく中、若い世代と一緒になって伝えていくことはとても大切です。

 今回参加してくれた高校生が震災伝承活動に関わりやすい環境を整備するのも私たちの責務です。夏ボラは非常に大切な取り組みですので、来年以降も積極的に関わらせて頂きたいと思います。

【高校生から寄せられた体験談】
(タイトルをタップすると文章に飛べます)
「伝えることで救われる」
「未来に繋ぐための伝承」
「次の世代へ繋ぐ、伝える」

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「伝えることで救われる」

 私は8月9日から11日までの3日間、3.11みらいサポートでボランティア活動をしました。このボランティア活動に参加しようと思った理由は、震災当時あまり被害がなかった私に対し、私の親戚や友達は津波による大きな被害を受けた人が多く、話を聞く度に震災について知ることに使命感のようなものを感じたからです。

 1日目に行ったオリエンテーションでは震災前は青年海外協力隊で活動していた方のお話を聞きました。お話を聞いた中で最も印象的だったのは、伝承することの重要性についてです。伝えることで災害があったときに助かる命が増えることがよく分かり、私自身が伝えていこうという思いを強く感じました。

 3日目はMEET門脇に来てくださった方々に展示品を解説する解説員としての活動をしました。中には家族で東京から来てくださった方もいました。震災後のボランティア活動の記録を手に取り、お父さんの名前を家族みんなで探す姿がとても印象に残り、温かみを感じました。

 この3日間を通して、地震があった直後の行動で助かった命がたくさんあったことや、震災後のボランティアの活躍など、人々の繋がりを強く感じました。これからも伝承活動が続いていくこと、震災によって得た知識や経験を風化させないことが石巻だけでなく、日本中で必要になると思います。私自身も家族や友人と震災について話したり、もし災害が起こったときの行動を見直したりし、家族と話し合おうと思いました。(石巻好文館高等学校 2年 S.H)

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「未来に繋ぐための伝承」

 私は8月9日から11日まで3日間、3.11みらいサポートでボランティアを体験しました。そこで私は、東日本大震災当時に門脇、南浜地区に何があったのか、また起こる前に何がそこに存在していたのかを学びました。様々な活動を行なった中、私は2日目に語り部さんが震災前の地域の風景をお話してくださったことが特に記憶に残っています。

 予め1日目に現在の周辺地区を担当スタッフの福田さんの解説を交えて歩き、理解を深めました。その際、タブレットを使って昔の風景の写真と今の風景とを照らし合わせながら歩いたものの、本当にそこにあったものを確認するには地形と跡地を見比べるしかなく、写真で残っている風景も今は失われてしまっていることに悲しい気持ちになりました。

 そして2日目に語り部の方の話を聞きました。1日目に巡ったことを元に質問を考えて、それに語り部さんが答えるといった形式で行われました。私は「昔からずっと暮らしてきた思い出の風景があっけなく失われてしまって無念だろう」と思いながらこの時間に臨みました。しかし語り部さんは思い出の場所が失われた悲壮感ではなく、かつてここにはこういう思い出があった、ここで遊んで、ここに友達がいて、といった昔の楽しい思い出を全面に押し出して話していました。3月11日、あの日どれだけ悲惨なことが起こったか伝えることを目的としているとばかり思っていたので少し驚きました。

 震災で失われたことばかりではなく、かつてそこには温かい風景があったことを知ることで、その地域への理解や関心を高めることが出来ました。未来の世代に伝えるには、過去の伝承も大切だと学びました。(石巻好文館高校 3年 C.S)

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「次の世代へ繋ぐ、伝える」

 私は高校生になって、自分を変えたいと思いこの夏ボラ体験に応募しました。応募した夏ボラ体験は8月9日、10日、11日の3日間にかけて行われました。

 1日目はスタッフの福田さんと他の高校生ボランティアの方々と一緒に、門脇地区と南浜地区を実際に歩き説明を受けました。夏ボラが始まる3日前に家族と一緒に訪れ、母や祖母に震災前のことを聞いていましたが、福田さんの説明を聞いて知らないことがたくさんありました。知らなかったことの中でも、火災で門脇地区ほとんどが燃え原型も分からなくなってしまうほどの甚大な被害を受けたことに言葉を失いました。

 2日目は、震災前に住んでいた地域の方と、1日目に門脇地区、南浜地区を歩いて疑問に思ったことや思い出についてフリートークしました。短い時間でしたが、地域の方と触れ合うことができて良かったです。午後は3日目に行う解説の予行練習をしました。福田さんが一通り館内の解説をした後、高校生ボランティアで実際に解説をしました。聞き手は福田さんと高校生ボランティアの人たちで、私と歳も近いので緊張はしないだろうと軽く見ていました。しかし、実際にやってみると説明するのが難しく、表現の仕方にこだわりがあったのでさらに難しく感じました。

 3日目はお客さんに解説するという内容でした。2日目に練習した通りやろうとすると緊張し、初めはお客さんの表情を見て解説することができませんでした。私以外の高校生ボランティアの人たちはできていて、それを見てすごく悔しい思いをしました。家で家族に聞いてもらえばよかったと後悔が残りました。しかし、ある団体の方から「ありがとうございました」という言葉をいただいて、自信につながり段々と上手く解説することができました。

 この3日間を通して、将来に繋がるとてもいい経験をすることができ、自分を変えることができました。人前で話すことが苦手だった私ですが、ボランティアをして人前で話すことに対しての苦手意識がなくなりました。来年も応募したいと思います。(石巻市立桜坂高等学校 1年 K.A)