NPO法人泉里会（以下、泉里会）は2008年から気仙沼市本吉町で障がい者自立生活支援施設「ケアホームめぐみ」を運営している障がい者支援団体です。2011年3月11日、津波によって、翌4月に開所を控えていた障がい者自立生活支援施設が流されました。
　もともと運営していたケアホームめぐみは幸いにも津波の被害を免れました。しかし震災後、気仙沼本吉地区で生まれた従来より多くの障がい児への支援要請には定員7名のケアホームめぐみだけでは対応しきれませんでした。そこで泉里会では日本財団や認定NPO法人難民を助ける会からの助成によって、新たにプレハブの施設を建設。2011年8月からはそこで障がい児を対象とした日中一時支援事業も行うことになりました。
　12月にはNPO法人ゆめ風基金からの支援を受けて障がい者の移送サービスも開始。気仙沼市本吉町や隣接する南三陸町には以前から障がい者の移送サービスが不足していたことに加え、線路や多くの道路が震災の影響で不通となったために、移動手段を持たない障がい者が増えたからです。
　津波で流失した施設については、ずっと再建費用を工面し続けてきました。丸紅基金からの助成、全国から寄せられた寄付金によって、新しく「ケアホーム猪鼻」を作ることが決まり、昨年11月にはようやく地鎮祭が催されています。
　震災以来、さまざまな人に支えられてきた泉里会。「人と人のつながりの大切さがあらためてわかりました」とケアホームめぐみ管理責任者の菅原満子さんは言います。泉里会としてはようやく再起を果たせそうですが、本当の復興へはまだまだ遠く。これまで以上に地域の課題の解決へと取り組んでいこうとしています。