ＮＰＯ法人ピースジャム( 以下、ピースジャム) は、母子への物資支援・母親の就労支援・子育て支援を中心に活動する団体で、気仙沼でブルース・バーを営む佐藤賢さんが中心となり設立されました。
　団体結成のきっかけは、東日本大震災の翌日、佐藤さんが当時7か月だった長女のミルクを求めて薬局に行った時のことでした。そこには、同じくミルクを求める女性の長蛇の列。この時、佐藤さんはある母親の訴えを聞きます。
「私にミルクを譲って下さい。母乳が出ないんです」
　佐藤さんは、このままでは赤ちゃんが餓死してしまうのではないかと考えました。いてもたってもいられなくなり、その母親の連絡先を控えると、わずかなガソリンを頼りに最終的には大崎までミルクを求めて奔走しました。
　この出来事を機に、母親達への継続的な支援の必要性を感じた佐藤さんは、任意団体としてピースジャムをスタート。避難所だけではなく、自宅へ戻った母親も支援の網から漏れないよう、全軒ノックも実施しました。さらに支援物資を全国から集めるためのＨＰを立ち上げ、気仙沼の母親達の窮状を訴えました。
　一方で気仙沼では、他の被災地同様、被災とともに失業し収入源を失った家庭が多くあ
りました。そこでピースジャムは2011年6月、母親達の雇用環境改善に動き始めました。こうして始まったのが、母親達のジャム作りです。ジャムは薬膳料理研究家の先生の指導を受けた野菜3種のベジタブルジャムと果物4種のフルーツジャム。さらに、服飾デザイナーの指導を受け縫製事業もスタートし、シュシュや巾着等の小物も製造しています。これらの商品は、インターネットや取扱店舗、イベント等にて販売されています。
　今春には気仙沼市内に工場兼コミュニティ広場を建設する予定。明るい気仙沼の
未来を目指した活動は続きます。