ＮＰＯ法人フェアトレード東北（以下、フェアトレード東北）は石巻市を中心にニート、引きこもり、精神障がい者など社会的弱者と呼ばれる人々の支援を行なってきた団体です。
　フェアトレード東北では、震災後もっぱら支援の網から漏れた人々、限界集落の在宅避難者や独居高齢者への支援（物資提供・見守り）を行なってきました。
　「在宅避難者で、とくに1人暮らしの方や体が不自由な方はあまり外出せず、物資提供も受け取れません」と代表理事の布施龍一さんは支援対象を在宅避難者に絞った理由を話しました。
　2011年7月、フェアトレード東北は石巻市から在宅高齢者への巡回事業を受託。国からの緊急雇用により約30名の支援員を雇い見守り活動を行いました。なかにはフェアトレード東北による訪問が震災後初めてのコミュニケーションだったという人もいました。この活動が評価され、フェアトレード東北は昨年11月に「あしたのまち・くらしづくり活動賞」の最高賞である内閣総理大臣賞を受賞しています。
　在宅高齢者へのもう一つの支援として、震災前にニートや引きこもりへの就労支援のために行っていたソーシャルファームが役立っています。ソーシャルファームとは、障がい者あるいは労働市場で不利な立場にある人々のために仕事を生み出す、あるいは支援つき雇用の機会を提供することに焦点をおいたビジネス。在宅高齢者に市内にあるビニールハウスでの野菜づくりに参加してもらっています。参加者からは「コミュニケーションの機会ができた」「ソーシャルファームに行くことが楽しみになった」などの声が聞かれ、在宅高齢者の就労につながるだけでなく、生きがい創出にもつながっているのです。
　今後もフェアトレード東北は「地域自らによるコミュニティ形成を手助けすることを目標に活動を続けます。