ＮＰＯ法人子育て支援ベビースマイル石巻（以下、ベビースマイル石巻）は、自らの体験を通して地域の親子や妊婦への支援をするために現役のママたちが立ち上げた団体です。
　現代表理事の荒木裕美さんは震災時、1歳の長男の育児中で妊娠8か月と身重で動けませんでした。しかし、被災地となった石巻のママたちが困っているのを肌で感じ、自分にもできることがあるのでは、との思いから、5月に活動を始めました。
　まずは6月に石巻市蛇田で「親子の遊び場」を開催。8月には三菱商事の復興支援助成金をもとに10名のママたちを有償ボランティアスタッフとして登録しました。現在ではこのママスタッフたちが中心となり、月に10〜12回親子向けのイベントや、子どもたちのケアのための講習、マタニティー向けの育児講座などを開催しています。
　ベビースマイル石巻では情報発信にも力を注いでいます。2011年11月には、会員のママたちの震災時の経験や思いなどを子どもたちに残すため、体験談集『子どもたちへ〜ママたちがいま、伝えたいこと〜』を制作しました。また、昨年8月からはマタニティ〜未就園児を抱えるママ向けのフリーペーパーを隔月で発行。ママスタッフが制作を担い、現役ママの目線で生きた情報の発信に努めています。
　また、2011年11月に他団体とともに「ボンボンカフェプロジェクト」を立ち上げており、現在も進行中。地域の親子が集えるコミュニティーカフェを作りたいとの考えです。
　「妊婦、未就園児のママたちは社会との接点が少なくなりがち。社会とつながる場づくりをしながら、子育てしやすい環境を作っていきます」と荒木さん。夢は広がり、一つ一つを形にしていきます。