ＮＰＯ法人創る村（以下、創る村）はいじめや不登校に悩む子どもたちを受け入れ、文化芸術教育の普及・創造のもと創造性ある子どもを育むため、1980年、松島湾の野々島でフリースクールを始めました。現在は拠点を東松島市新東名に移し、フリースクール・宅老所の運営を行っています。
　震災では、開所直前だった宅老・デイサービス施設「老莱子の家」で一階部分が浸水する被害が出ました。改修には多額の費用が掛かりましたが、寄付や助成金の助けがあり、当初予定していた半年後の2011年10月になんとか開業しています。
　改修にあたって敷地内には復興のシンボルとなるステージも設置。創る村では昨年4月にこのステージで震災と復興をテーマとしたオペレッタを上演しました。創る村企画室の飴屋善太さんは「ステージは地域にも貸し出して、幅広く活用したい」と言います。
　昨年の12月には「こけし里帰り記念イベント」を開催。震災前に創る村へ寄付された大型のこけしが津波によって流されていたのですが、そのこけしが無事見つかり、創る村へ生還したことを記念したイベントでした。
　今年4月には世界一の三味線奏者2代目高橋竹山さんを招き、「生き生きコンサート」を東松島、仙台の2か所で主催します。このうち、東松島のコンサートでは震災で亡くなり、生前創る村と交流が深かった医師の佐藤幸弘さんを偲びます。震災当日の朝、創る村代表飴屋善敏さんの母へ書いた他病院への紹介状が佐藤さんの遺稿となりました。
　創る村は今後も東松島でフリースクール、高齢者支援を続けていきます。それと同時に、東松島地域だけでなく日本全体の行く先にも目を向けています。日本人1人1人が民主主義国家の一員であることを自覚して未来に向かえるよう、文化教育面から震災復興に携わっていきます。