特定非営利活動法人 住民互助福祉団体ささえ愛山元

 宮城県の東南端に位置する山元町山寺で、居宅、訪問介護、通所の介護保険事業と、宅老、移送、雑用代行の介護保険事業外の6つの事業を行っているNPO法人です。
 震災で、JR常磐線の線路を挟んで東側にあったデイホームと事務所を兼ねた施設は全壊し、西側にあったデイサービスセンターミニホーム愛広館も1階部分が大きな被害を受けました。そして、悲しいことに職員が3名、利用者が3名亡くなりました。
 代表の中村怜子さんは、5月まで、生活意欲を失くし、途方に暮れている状態が続いていました。しかし、「100年に一度の震災で、親や夫を亡くし、夢であってほしいと毎日思っていますが、今回ほどディサービスの必要性を感じたことはありません。」と、活動の再開を誓いました。


震災から5年の歳月を経て『住民互助福祉団体ささえ愛山元』の「今」

山元町で「助け合いの精神に基づき、安心して老いるために」を合言葉に、
居宅、通所、宅老、移送などの介護事業を行うとともに、手芸教室などのサークル活動を通して、
地域住民の楽しく集える居場所を提供している住民互助福祉団体ささえ愛山元さん。

震災で、施設1棟は全壊、もう1棟も大きな被害を受けました。
「当時は途方に暮れる毎日だった」と代表の中村怜子さんは当時を振り返ります。

それでも、日常生活費が優先となり、デイサービスに通う余裕がない人が多い現状を目のあたりにし、
地域みんなの心の拠り所になる場所を作ろうと活動の再開を決意されたと言います。

震災直後は、仮設住宅を訪問支援を続けながら、被害を受けた施設の改修工事を進め、
同年10月に利用者の受け入れを開始。
そして、2年後2013年8月には、津波で流失したもう1棟に代わる新たな施設を高台にオーブンしました。

当初、復興みやぎで掲げた募金の目標額は1,700万円。
しかし、再建費用は大きく上回ります。

行政の補助金を得ても、目標額を超える費用が必要となり賄う当てはありませんでした。
そんな時『復興みやぎ』の寄付をはじめ、全国から応援金が届き、
施設再建に加え、運営に必要な備品等も整えることができました。

「震災後、全て失い、ゼロからのスタートでしたが、たくさんの温かいご支援をいただき、感激しました。
今も個人の方から、寄付が届きます。皆さんからのお志を大切にして、前へ進んで行きます」
と中村さんは優しく頼もしい口調でお話しくださいました。

今は毎日が楽しいという中村さんが、
コミュニティづくりの一環として昨年からはじめた「ワンデイシェフ」は、
地元の女性が交代で一日シェフを務め、昼食を囲む交流会として、毎回満席という大変な人気ぶり。
料理を提供する側味わう側双方が交流を深め、生きがいにもつながっているといいます。

山元町では、震災後に高齢化が加速し、35.7%と県内では4番目に高い高齢化率。
このような交流や生きがいにつながる居場所が今求められています。

「これからも地域の復興の一助になる息の長い活動を続けていきます」
と話す中村さんの背後からは、とても楽しそうな声が聞こえてきました。


2013年7月25日 新しい施設が高台に完成しました!

津波で流失した宅老所の再建を検討し始めてからおよそ2年。
元々あった場所での施設建設はできないため、新たに高台での建設を計画してきました。

新しい施設の完成は、本来今年4月の予定でしたが、工期が延びに延び、ようやく今月完成を迎えました。

新しい施設では、風呂場にはリフトを設置、トイレは車イスでも十分なゆとりを確保し、談話室も大きな窓ガラスがあり開放的なくうかんとなっています。

8月1日からはいよいよ新施設でのサービスがスタート!
宅老・デイサービスだけでなく、仮設住宅・みなし仮設に住む被災者の人々が集う手仕事作業所にもなる予定です。
理事長の中村さんも、スタッフのみなさんも、待ちに待った新施設での事業に夢が膨らんでいます。


高台で再建中の施設、ようやく基礎完成です

流失した施設があった場所は危険区域に指定されてしまったため、同じ場所での再建ができません。
そこでささえ愛山元では新しい施設を高台に作ることを目指してきました。

その高台での施設再建がいよいよ現実味を帯びてきています。
ようやく建物の基礎ができました。
本当は4月中旬の完成を予定していましたが、生コンクリートの供給不足などによって進捗には若干の遅れが出ています。
現在、5月末の完成を見込んでいます。

ささえ愛山元では仮設住宅やみなし仮設に住む人々へ手仕事のための材料やミシンなどを提供してきており、今作っている施設が完成したら今度は手仕事のための作業所もできる予定です。

施設の再建費用ですが、当初考えていた額よりも500万円ほどかさんでしまい、総額は3700万円。
うち3000万円は行政から補助金が出るのですが、残りの700万円は目途がついていません。
中村理事長は自宅を抵当に入れることも考えています。

ささえ愛山元はこれまで様々なご支援をもらい、ここまで復興してきました。
あともう少しだけ、温かいご支援を頂ければと思います。


2012.4.26 施設再建へ向けて

ささえ愛山元は、利用者も徐々に増えている現在、様々の団体から寄付金や助成金やボランティアに支えられ施設再建に向けて土地購入の検討をしています。今年度中に施設再建の目標を掲げ、前を向いて進んでいます。
また、仮設住宅で行っているパラソル喫茶は、3月より月2回開催し、大変好評を得て活動しています。

施設の再建で使用した主な助成金や補助金
・東日本大震災現地NPO応援基金 3,030,000円
・日米カウンシル  2,500,000円
・カリタスジャパン 4,100,000円
・シンクザアース  300,000円
・その他個人や団体からの寄付


2012.1.25 流失した宅老所を再開するために

デイサービスを再開後、利用者も徐々にですが、増えてきています。また、仮設住宅の支援も継続して行っています。3月からは、仮設住宅で好評だったパラソル喫茶も再開させる予定です。

そんな中、地域住民から、高齢者が泊まれる場所が少ないという声が多く上がってきています。
ショートステイを行っている施設は予約が多く入っており、数日前でもなかなか泊まれません。そこで、宅老所を新たに作る計画を立てています。流失した施設の場所には建築できないので、現在のデイサービス施設を増築する予定です。
今後も、ささえ愛山元は地域に根差した活動を続け山元町の復興に寄与していきます。


2011.12.26 来年へ向けての課題

 ささえ愛山元では、多くの方の支えがあったことにより、施設の改修工事が終わり、津波で流された車両を提供していただき、デイサービスも再開しています。現在従業員も13名になり、利用者も10月から徐々に増えてきています。しかし震災前と比べると、従業員、利用者、売上ともに半数以下で、もう1棟の施設は再開の目途が立っていません。
 それでも、再開したことで、待ち望んでいた人たちがとても喜んでくれたり、近所にも人が戻ってくるなど、地域にとってはとても心強い存在となっています。

 来年は、組織基盤の強化を図る為、新たに雇用した職員を含めた全体のスキルアップや、もう1棟の全壊した施設の再開を目指します。職員のスキルアップには研修なども行い、レベルアップと共に徐々に事業も以前のように拡大していく予定です。施設の再開には土地の確保と資金の確保が必要となり、まだまだ支援が必要な状況です。支えてくれた方々への感謝として、仮設住宅への支援も継続して行っており、介護予防の支援も行っていきます。また、県外から現地視察として訪れる方々の案内やコーディネートも継続して行い、自らの体験を多くの方へ伝えていきます。 

 今後もささえ愛山元には支援が必要です。そして、支援をいただいたことによって、感謝の気持ちが地域の住民への支援という形でしっかりとつながっていきます。


2011.11.17若いスタッフも増え活気が出てきました

ささえ愛山元は、10月に再開し現在は若いスタッフも増え、新たな活動に向かってイキイキしてきました!

1棟は再開しましたが、津波に流され再開していない、もう1棟に対しての施設の助成金がありません。

今回宮城県で発表になった「老人福祉施設等災害復旧支援事業」については改修工事の1/4まで補助金がでる内容になっていますが、まだまだ足りません。

それでも、たくさんの人と支えあって地域に根差した活動をしていきます。


2011.09.21 再開!

10月1日から再開することになりました!

高齢者のデイサービスなどを行っていたささえ愛山元は、3.11の津波で施設1棟は流失。もう1棟も大規模な被害を受けました。そんな中、改修工事を行って9月20日からプレオープンし10月1日から再開することになりました。


【再開を喜ぶスタッフと利用者の方々】

再開前までは、パラソル喫茶や出張エステなど仮設住宅の支援を行っており、今後も継続して行っていく予定です。
そんな中、「介護予防が必要な方が増えてきているのを感じます。」と言う理事長の中村さんは、仮設住宅にいる方や、畑や職を失った方々に、気軽に動けて話せる場の提供ができないか思案中です。中村さん自らも大きな被害に遭っているからこそ、このような場が必要だと感じています。

再開は果たしましたが、再開した施設の2階はまだ改修工事が終わっておらず、もう1棟の施設が建っていた場所は、建築できるエリアになるか未定のままで、まだまだ大変な状況は続きます。

「たくさんの支援が支えとなって皆様から力をもらっています。」と中村代表。
震災から半年。
震災後、再開に向けて歩き続けてきたささえ愛山元は、疲れも溜まってきています。

これから、ささえあいがもっともっと必要な時期になってきます。

月刊ゆるる8月号記事 PDF


2011.07.25 仮設住宅でパラソル喫茶

ささえ愛山元ではデイサービス施設の改修工事が進んでいます。
床の張り替えが終わり、残るは壁紙や設備の工事となりました。
再開できるのを職員や利用者も楽しみにしています。

現在は、山元町町民グランドや亘理町中央工業などの仮設住宅でパラソル喫茶を定期的に行っています。

また、仮事務所で仮設住宅に住んでいる方々にミスパリビューティー専門学校の方々と慰問エステを行うなどの支援活動を行い、復興へ向けて動き出しています。



2011.07.06 改修工事開始

 東側の施設は土地利用の行政判断がまだ出ておらず、現地での再開は諦めています。再開にむけて居宅事業を行う場所を探していますが、いまだ見つかっていません。

 被害の少なかった線路西側の愛広館は、改修工事を既に再開しています。一刻でも早いデイサービスの再開と事務所の開設をめざしています。

 再開に向けて動き出している代表の中村怜子さんや職員の皆さんは、「事務所とデイサービスを混合、ひとつにして再開に向けてがんばっています。この震災は、夢であってほしいと毎日思っていますが、利用者の元気な姿を見てほっとしています。」と中村さん。

 本格的な事業再開のためには、施設の建築、職員の雇用、送迎車の手配など多くの課題が残されています。